シンポジウム 「古代アメリカに関する高校教育を考える」

 

趣旨

 古代アメリカ学会ではワーキンググループを立ち上げ、2014年度までに高等学校の世界史の教科書における古代アメリカに関する記述の検討を行った。修正案を教科書の出版社に伝えた結果、いくつかの教科書で学会からの提案が反映された。

 これまでの経緯を踏まえ、2015年度から2016年度にかけて、新たにワーキンググループを設置し、高等学校における教育を事例として、古代アメリカ研究の成果をどのように社会還元できるか検討した。本シンポジウムではその成果を報告する。

 新聞や雑誌などでしばしば報道されているように、現在、高等学校や中学校の教員は多忙を極めている。そのため教科書や参考書における古代アメリカ関係の記述を現在の研究成果に照らし合わせて正確にしても、それを基に新しい授業を練り直すことのできる余裕のある教員はほとんどいない。またホームページなどで情報発信しても、そこにアクセスする教員はかなり限定されるであろう。教科ごとに指導書というものがあるが、それを活用する教員もそれほど多くないため、その内容を修正したとしても効果は限定的であろう。ではどうすればいいのだろう? 本ワーキンググループには、高等学校などで教鞭をとる現役の教員がメンバーとして参加している。現役教員の意見を踏まえ、一番効果的なのは、古代アメリカに関する授業案を作成し、それを高校の教員に利用してもらうという方法を検討した。古代アメリカに関係するいくつか授業案を作成し、それについて現役の高校教員にコメントをしてもらった。本シンポジウムではその内容について報告する。また、ワーキンググループのメンバー2名は独自に古代アメリカに関する授業を実践しており、その方法について報告する。

 最後に、古代アメリカに関する情報を用いた授業案を高校教育の現場に提供する方法、課題について討論する。こうした試みを通じて、古代アメリカ学会の活動を社会と接合するという意識を高めていきたい。