古代アメリカ研究会会報No.10(発行2001年7月)

 役員会・総会研究発表会会則、寄稿規定等の変更会計報告『古代アメリカ』第5号投稿原稿募集会員からの投稿新入会員名簿会員名簿の訂正事務局からのお知らせ編集後記

 

 1.古代アメリカ研究会役員会・総会

(1)役員会議事録

日時:2001616(土曜日) 午前10時〜1210

場所:埼玉大学大学会館3階会議室

出席者:大貫良夫、関雄二、多々良穣、柳沢健司、八杉佳穂、井口欣也、杓谷茂樹、

馬瀬智光、横山玲子、長谷川悦夫

議長:関雄二

書記:長谷川悦夫

 

1)研究会会誌『古代アメリカ』について

 @第4号編集報告

論文3本、研究ノート1本、書評2本、第3号の論文についてのコメントと、それに対するリプライを掲載した。2000年度のものとして投稿が2本あったが、そのうち1本を論文として掲載した。

今回からは会員の活動状況を掲載しているが、連絡の遅れから投稿されたものをそのまま載せるかたちになった。今年度からは前もってPRし、早めに原稿を集めたい。

印刷部数はこれまでの200部から300部に増やした。

  以上の件に関して、了承した。

 A奈良大学図書館からの送付希望について

 奈良大学図書館から本研究会編集委員杓谷氏を通して『古代アメリカ』の送付を希望する旨、事務局に連絡があった。この件について了承した。

 B会誌の内容に関する提案

役員から、『古代アメリカ』を一般に普及させるために、遺跡案内、感銘を受けた本、研究のための必読書などを掲載してはどうかとの提案がなされた。また、会誌の市販を目指すべきという提案もなされた。

役員会としては、主に以下の意見が出された。(a)カラー印刷などの経費の問題があること。(b)学会として成立することを目指そうとしているのに対し、開始を一般向けにすることに問題はないか。(c)会報に盛込んではどうか。これに対しては、一般向けということであれば、会誌の内容として検討すべきという意見がなされた。(d)学生会員が主体となっている本研究会では、予算的に難しいのではないだろうか。(e)会誌とは別の刊行物として作成することも可能ではないか。

 以上のことから、本件に関しては今後の課題として検討していくことで合意した。

 

2)2000年度決算、および2001年度予算案

 @2000年度決算について

 別表の通り2000年度決算報告がなされ、了承された。また、懇親会の会計についても報告があり了承されたが、懇親会の会計については、現行のままでは当日の参加人数を掌握することが極めて困難である点が指摘され、検討課題となった。事務幹事の交代などもあることから、会計マニュアルを作成することとなった。

 A2001年度予算案について

別表の通り2001年度予算案が提示され、了承された。特に説明が要された点は、(a)会報、会員名簿、研究発表会レジュメ等の印刷に関わる支出の増加が見込まれること、(b)ホームページ開設維持費は、有料プロバイダとの契約を予想して増額してあることの2点であった。

 

3)6回総会、研究発表会について(司会、書記、座長の指名)

 総会の司会は関委員、書記は馬瀬委員、研究発表会の座長は、第一部を鶴見会員、第二部を岩崎会員にお願いすることで合意した。

 

4)事務幹事改選について

 事務幹事の改選に当たっては、事務局を設置する研究教育機関に所属しており、任期をまっとうできる方に交代すべきと考えられた。役員会としては、事務局の移転を含め、東海大学大学院に在籍している向井暁子会員を推薦し、総会において投票を行うことで合意した。事務幹事については、本来全会員の中から条件を満たす会員を候補に挙げて選挙に臨むべきだが、今回は、渡部前事務幹事が留学したため、急遽長谷川会員に事務幹事代行をお願いしたという経緯があった。研究会の運営に支障を来たすことなく新たな事務幹事を選出するために、やむを得ずこのような処置をとった次第である。

また、事務幹事の負担を軽減するために、例えば総務と会計に分けてはどうかという提案もなされた。事務幹事を会則第3条第1項の規程から除くかどうか、今後の懸案事項とすることで合意した。

 

5)入会・退会希望者の承認について

 @入会・退会の承認

 別紙の通り、新たに、井上泰輔、田中悠希、中満和大、中元洋司、福原弘識、山崎卓世、山本睦、吉田修、吉田栄人、吉田誠、若杉知和、渡辺剛、渡邊誠、以上13名の入会希望者があり、承認された。また、会員2名から退会願いが出ており、同様に承認された。

 さらに、会員3名については、過去3年間に渡って会費を滞納しており、会則にしたがって除名することで合意した。

 A入会の承認に関する取り決めについて

   新入会員の承認に関しては、詳細な運用規定は作られていない。入会申し込みの方法および承認作業については以下のように合意した。

入会希望者は、所定の用紙を用いるか、E-mailを用いて入会の申し込みをすること。入会の承認については、役員会において承認手続きをとること。

 

6)その他、研究会活動方針全般について

 松本剛会員より、ホームページの運営方法を改善し、有料プロバイダと契約することでより一層内容のあるホームページにするべきではないかという提案がなされた。これに対して役員からは、(a)ページが重くなることは好ましくない、(b)学会として掲示板は必要か、(c)安全性に問題はないか、などの意見が出された。結果としては、有料プロバイダと契約し、契約料は年間66000円とすることで合意した。ホームページの内容等については、今後役員会でも検討していくことで合意した。

 

(2)古代アメリカ研究会 第6回総会議事録

日時:2001616(土曜日) 午後1220分〜1320

場所:埼玉大学大学会館3階大集会室

議長:関 雄二

書記:馬瀬智光

*会員総数135名のうち、委任状48通、出席26名、計74人となり、過半数を越えたため、本会は成立した。

*会則第17条により、本総会の議長ならびに書記は本会役員から選ぶこととなっている。役員会から、議長には関委員、書記には馬瀬委員を推薦し、会員の承認を得た。

 

1)会長挨拶

 第6回総会を開催するにあたって、大貫会長から挨拶を頂戴した。主な内容は以下の通りである。(a)総会への出席者が26名と少ないので、今後は是非総会にも多くの会員に出席して頂きたい。(b)『古代アメリカ』第4号が発刊の運びとなった。内容は、論文3本、研究ノート1本、その他である。(c)ホームページの充実を考えており、本研究会の活動をより充実したものとしていきたい。

 

2)会誌『古代アメリカ』第4号編集報告

 編集委員より、以下のように報告がなされた。

本号へは、投稿論文が2本あり、内1本を掲載した。残り1本に関してはリプライを経て第5号に掲載する予定である。また、会員の活動は4件掲載したが、今後、形式を考えて改善していきたい。

 抜き刷りに掛かる費用は本号まで執筆者負担としていたが、次号第5号以降、論文・研究ノートに限り、30部を無料で執筆者へ進呈することとする。

 寄稿規定に「学会事務局」とあるが、実状にあわないため、今後は「編集委員会事務局」とする。

 

3)2000年度決算報告

 長谷川委員より別表の通り2000年度決算報告がなされた。

 会員総数121名の内、97名が会費を納めており、2000年度決算内容については、多々良監査委員および総会において承認された。

 

4)2001年度予算案

 長谷川委員より別表の通り2001年度予算案が提示され、総会において承認された。

 

5)事務幹事の改選

関議長より事務幹事改選についての説明がなされた。今回の改選理由は、以下の通りである。前事務幹事の渡部森哉会員が、個人の学業上の理由により、事務幹事を務めることができなくなった。役員会では、臨時に長谷川悦夫会員に依頼し、事務幹事代行を引き受けて頂いた。本来、事務幹事は総会において選出されなければならないため、役員会では会則を変更の上、事務幹事を選出することとした。

 @会則の変更

・第15条第2項「役員がその職務を遂行することが実質的に不可能となった場合、会則第13条に従い、すみやかにその後任者を選出するものとする。」

⇒「ただし、選出された後任者の任期は、その先任者の残留期間とする。」という一文をを加える。

・「役員の在任は連続3期を限度とする。ただし、第13条第1項によって選出される役員については連続2期を限度とする。」

 ⇒この条文を、新たに第15条第3項として設置する。

 A会則の変更に対する総会での意見

役員の交代は、硬直化を防ぐという点でもっともだが、今は学会登録を目指している段階であり、もう少し組織として安定するまで現行の役員で運営していくべきではないかという意見がなされた。これに対し、会長より、役員の任期については、役員会ではまだ議論が十分になされたとは言えないが、現状では役員の負担が大きいことは事実である。役員を増やして本研究会の組織を大きくしていくためにも、今回の改正案を受け入れてもらいたいという説明がなされた。

 B本改正案に対する審議

 賛成28票、反対1票、保留0票で、本改正案は可決された。また、本改正案は、渡部事務幹事の在任期間についても適用することで了承した。

 C事務幹事選挙に関する選挙管理委員の選出

 本選挙について、朝岡会員、徳江会員、渡辺会員の3名を選挙管理委員として選出し承認された。

 D事務幹事候補者の推薦について

 関議長より、本改選について説明が行われ、役員会として東海大学大学院の向井暁子会員を推薦するという報告がなされた。主な事由としては、(a)長谷川悦夫会員は、今後東京大学に残るかどうか不明であり、幹事代行を継続するのは困難であること、(b)事務幹事は大学等研究教育機関に所属している会員であり、比較的長期に渡って在学し、あるいは日本国内にいることが望ましいこと、が挙げられた。

 E事務幹事選挙結果

  上記の説明後、投票用紙が配布され、選挙が行われた。結果は以下の通りである。

   ・長谷川悦夫 2

   ・中嶋 直樹 1

   ・向井 暁子 24

   ・白紙    3

   ・棄権    3

 以上、有効票27票の内、24票を獲得した向井暁子会員を事務幹事とし、前事務幹事の渡部森哉会員の残留期間をその任期とすることとなった。

 

6)その他

 入会希望者13名について、役員会で承認されたことが報告された。また、退会希望者2名も同様に役員会で承認されたことが報告された。さらに、会員3名が3年間会費を滞納しており、総会で除名を承認した旨報告された。

 

 

2.古代アメリカ研究会研究発表会

 第6回総会後、6組の方々から最新の研究成果を発表して頂きました。発表者と発表題目は以下の通りです。なお、発表内容は当日配布された『古代アメリカ研究会第6回研究発表会資料』に掲載されております。

 

 1.垂直統御再考−中央アンデス南部の考古学的視点から−

  佐藤 吉文(埼玉大学大学院修了生)

 2.色彩からみる図像と表象の変化〜ナスカの土器を中心に〜

  辻 佳子(埼玉大学大学院修了生)

 3.中央アンデス海岸地帯における神殿社会成立のプロセス

  広田 健(埼玉大学大学院修了生)

 4.インカの地方支配に関する一考察

  竹内 繁(東京大学大学院博士課程)

 5.メシーカ人移住の史料に関する一考察

  井上 幸孝(大阪外国語大学非常勤講師)

 6.マヤ地域の洞窟遺跡調査報告と儀礼具について

  多々良 穣(東北学院榴ケ岡高等学校教諭)

  

3.会則、寄稿規定等の変更

 下線部が変更部分です。

(1)会則の変更

15条(役員の任期等)

    役員の任期は、2年間とする。

2        役員がその職務を遂行することが実質的に不可能となった場合、会則13条に従い、   すみやかにその後任者を選出するものとする。ただし、選出された後任者の任期は、その先任者の残任期間とする。

3        役員の在任は、連続3期を限度とする。連続3期役員を経験したものは、次の1期は役員に就任することはできない。ただし、第131項によって選出される役員については連続2期を限度とする。

 

(2)付則

 1.本会の会費は、以下のとおりに定める。

        年額 4,000

   ただし、海外に在住もしくは長期滞在している会員については、原則として年額40

   米ドルとする。

2.会費の改訂は、役員会の提案に基づき、会則第24条に従い、総会において決議す

    るものとする。

 3.本会則は、199741日から施行する。

          付則

  この改正は、2000527日から施行する。

          付則

  この改正は、2001616日から施行する。

 

(3)寄稿規定の変更

 3.抜き刷り

抜き刷りは、論文、および研究ノートに限り、30部を無料で作成するものとする。30 部を超えてこれを希望する場合には、超過分については実費を払うものとする。また、論文、および研究ノート以外のものについては、希望があれば全て有料にて作成するものとする。

 

 5.提出

 編集委員会事務局宛とする。

 

 6.その他

 他誌への二重投稿は認めない。論文の版権は著者および古代アメリカ研究会に帰属するものとする。従って転載を希望する場合は、編集委員会事務局宛に連絡をするものとす

 る。

 

(4)執筆細目の変更

 1.提出方法

 フロッピー・ディスク(MS-DOSのテキストファイル)にプリントアウト原稿(800

 /枚)1部、ならびに投稿カードを添えて提出する。投稿カードは編集委員会事務局

 り投稿希望者に配布されるものとする。

 

4.会計報告
(1)2000年度決算報告

     
  収入の部    
  前年度繰越金 181,160
  会費収入 388,000
  1999年度研究発表会余剰金 139,126
  会誌売上 36,000
  2000年度研究発表会参加費 40,000
  その他 188
  合計 784,474
     
  支出の部    
  会報発行費 12,432
  総会・研究発表会補助費 11,236
  役員会旅費補助 149,600
  通信費 65,675
  ホームページ開設維持費 0
  会誌発行費 215,565
  消耗品費 294
  その他 280
  予備費 0
  合計 455,082
  次年度繰越金 329,392

 

 

 


(2)2001年度予算案

   収入の部       
   2000年度繰越金       329,392  
   会費収入       540,000  
   その他       130,608  
   合計     1,000,000  
       
   支出の部       
   会報発行費        40,000  
   総会・研究発表会補助        30,000  
   役員会旅費補助       200,000  
   通信費        80,000  
   ホームページ開設維持費        70,000  
   会誌発行費       210,000  
   消耗品費        10,000  
   予備費       360,000  
   合計     1,000,000  

 

 

5.『古代アメリカ』第5号投稿原稿募集

 『古代アメリカ』第5号への原稿の投稿を募集します。詳細は寄稿規定、および執筆細目をご参照下さい。

 原稿の締切は、11月末日とします。投稿希望者は10月末日までに下記の「投稿に関する問い合わせ先」(馬瀬または杓谷宛)にメールまたは郵便にて申し出て、投稿カードの配布を受け、提出原稿に添付して下さい。

 なお、掲載の可否は規定による査読結果を踏まえて編集委員会が決定します。また、寄稿された論文は、編集委員会が、論文以外の種別(研究ノート)による掲載が適当と判断する場合があります。

 

投稿に関する問い合わせ先:

    馬瀬智光:〒612-8369 京都市伏見区村上町400-1

         E-mail: inettom@mbox.kyoto-inet.or.jp

 

    杓谷茂樹:〒466-0831 名古屋市昭和区花見通1-5-1 メゾン川原4A

         E-mail: shakuyas@sd.starcat.ne.jp

 

   編集委員会事務局:〒338-8570 さいたま市下大久保255

             埼玉大学教養学部

             井口欣也(10月中旬まで海外調査予定)

             E-mail: inokuchi@post.saitama-u.ac.jp

 

 また、『古代アメリカ』第4号で掲載を開始した「会員の活動状況」のコーナーを、第5号ではより充実させてゆきたいと考えております。こちらの原稿の執筆要領等につきましては、次号の会報に掲載する募集記事に記載する予定ですので、会員各位にはよろしくご協力の程お願い申し上げます。

 

 

6.会員からの投稿

(1)海外調査報告

 

グァテマラTFRK調査

持田あや子(東海大学非常勤講師)

1992年の地球サミットのフォローアップを行う国連持続可能な開発委員会による、森林に関する政府間パネルの最終報告で、先住民らが持つ「森林に関する伝統的な知識(TFRK)」が、森林・環境の持続可能な開発に役立つ可能性があるとの認識が確認された。これに基づき、社団法人 海外林業コンサルタンツ協会は、アジア、オセアニア、中南米各地で、TFRKの具体的な情報の収集を行ってきている。その一環として、2000年からはグァテマラのマヤ系先住民を対象とした調査が開始され、筆者も参加することとなった。

調査はこれまで、20009月から10月にかけてと、20011月から2月にかけての2回行われた。グァテマラ森林局(INAB)の協力の下、北西部高地を中心に先住民のコミュニティを訪れ、共有林のマネージメントについてインタビューをしたり、実際に共有林を案内してもらったりした。

マネージメントの方法は、当然ながらコミュニティによって様々であるが、総じて「自分たちのやり方」を強調しているのが印象的であった。INABの援助政策、PINFOR(植林・天然更新の促進・森林保全を援助する政策)も受け入れるつもりはないと主張しているところもあった。このような強い自治意識の裏には、ラディーノらコミュニティ外の者に対する不信があるのだが、加えて考えなければならないのが、コミュニティにとっての森林の意味である。調査中には、共有林の中で儀礼の行われる場所を見ることもあれば、森林そのものが神聖なのだという話を聞くこともあった。森林には、水や木材などの資源の入手という物質的な側面だけではなく、観念的な側面もあるのである。それぞれのコミュニティが、それぞれのやり方で人と森林を結び付けているからこそ、共有林のマネージメントに関して「自分たちのやり方」が重要なものとなってくるのであろう。

次回の調査は、20019月から10月にかけて行われることとなった。今度は調査の場所をグァテマラのペテン州やベリーズのマヤ山脈付近に移し、自然環境や社会・経済状況の相違を踏まえた上で、前回までの調査結果との比較研究を進める予定だ。森を専門とする人たちに、人や文化を専門とする筆者が混じったこの調査チームで、それぞれの知識と考え方を活かしながら、今後もマヤにおける人と森林の関係を探っていくつもりである。

 

カハマルカ王国の研究

        渡部森哉(日本学術振興会海外特別研究員、ペルー・カトリック大学人文学部研究員

 1999-2000年にタンタリカ遺跡の発掘調査をしました。タンタリカ遺跡はペルーの北部高地、ヘケテペッケ川とチカマ川に挟まれた地域に位置し、頂上部の標高が3289mの山の頂上部から麓にかけて建築群が集中する遺跡です。

 1540年に行われたビシータ(巡察)によりますと、インカ帝国下カハマルカ地方は7つのワランガに分かれていたといいます。ワランガというのはケチュア語で1000の数を意味する単語で、徴税人口をコントロールする単位でした。この7つのワランガのなかで、クイスマンク・ワランガのリーダーが全体の代表として認められていたといいます。そこでペルーの歴史学者はこの7つのワランガの総体をクイスマンク王国(通称カハマルカ王国)と呼びます。

 クイスマンク・ワランガがどこにあったのかといいますと、おそらく現在の町グスマンゴの付近にあったと思われます。その中心だったと考えられる遺跡グスマンゴ・ビエッホは現在ではかなり破壊されてしまいました。そこで、そのとなりのチュキマンゴ・ワランガに属するタンタリカ遺跡に注目しました。この遺跡はグスマンゴの近くに位置するため、そこにはクイスマンク王国の特徴が強く現れるであろう、そういう仮説を持って発掘調査に着手したわけです。

 発掘の結果、地方王国期から、インカ期、植民地期まで活動があった遺跡であることがわかりました。

 ところで歴史学者は7つのワランガのうち2つ(ポママルカ、ミティマエス)はインカ期に作られたものであり、残りの5つの連合体こそがインカ期以前にあったクイスマンク王国の実体であろうといいます。

 発掘の結果、少なくとも土器の分析からは歴史学者の仮説は支持されないように思われます。もしそのような政体があったとしたならカハマルカ盆地に同時期に製作されたカオリン土器が見つかるだろうと予想されたのですが、そうした土器片は全く出土しませんでした。むしろ多いのは北海岸のチムー様式の土器であります。ですから5つのワランガの連合体を想定するのは難しいのです。それではカオリン胎土の土器は無いのかといいますと、実はあります。それは殆どがインカ様式のアリバロスを作るのに使用されたものです。従ってタンタリカ遺跡とカハマルカ盆地との間の関係が強くなったのは、インカ期になってからだろうと考えられます。

 それではいったいカハマルカ盆地ではインカ以前にどのような政体があって、それがインカ期にどのように変化したのでしょうか。それを明らかにするため、2001年はサンタ・デリア遺跡の調査に着手します。この遺跡はカハマルカの街から東に約1時間半のところにあり、表面採集の土器からタンタリカ遺跡とほぼ同時期に属すると考えられる、大遺跡であります。標高約3100m20haという範囲に建築群が連なっていたことが航空写真から分かるのですが、残念ながらその壁は殆どが壊され、家畜を囲う石に変わりはててしまいました。この遺跡は、カハマルカ・ワランガに属し、東のチャチャポーヤス地方との関係を探る手がかりになることが予想されます。発掘の結果どうなるか、乞うご期待。

 

(2)研究会紹介

イベリア・ラテンアメリカ文化研究会

SECILA, Seminario de Estudios sobre Culturas Ibero-Latinoamericanas

2〜3ヶ月に一度、関東と関西の両方で開催。スペイン・ポルトガルおよびラテンアメリカに関する歴史学・人類学・考古学・社会学などの研究発表の場で、若手研究者や院生を中心とした研究会です。原則として、関東は月曜日の夕方、関西は土曜日の午後に行います。関東地域の世話人は禪野美帆(慶應大非常勤・文化人類学)、関西地域の世話人は古代アメリカ会員の井上幸孝です。興味をお持ちの方すべてに開かれた研究会ですので、お気軽にご参加下さい。案内を希望される場合は、井上takaio@po.aianet.ne.jpまでご一報ください。

 

ナワトル言語文化研究会

古典ナワトル語のテキストの講読、および植民地時代初期のナワトル語文書を読む会です。開催は不定期で、参加者の都合にあわせて年に数回、大阪で集まっています。お問い合わせは井上幸孝(takaio@po.aianet.ne.jp)までお願いします。

 

(3)出版物紹介

Las Culturas Indígenas3号刊行

このたび、南北アメリカ大陸の先史文化の研究を目的とする研究会Capac ñanの会誌 Las Culturas Indígenas3号が刊行の運びとなりました。全49ページで、内容は下記のようになっています。

「第3号の刊行に寄せて」(貞末堯司)、“EL USO RITUAL O PRACTICO DE LA PIEDRA POMEZ EN LA CONSTRUCCION DE EDIFICIOS EN EL AREA DE LA VERTIENTE DEL PACIFICO EN EL SUR DE MESOAMERICA”Nobuyuki Ito)、「世界遺産における考古学と保存―ホンジュラス,コパン遺跡からの簡易報告」(中村誠一)、「バランカンチェ洞窟における儀式について」(多々良穣)、「ワマン・ポマの描いたインカ皇帝・皇妃着衣の文様」(岩田安之)です。

ご希望の方は下記の郵便口座にお振込み下さい。2週間程度でお届け致します。

会誌は一部1500円(送料込み)です。

振込先:00710−9−10859

加入者名:Capac ñan

 なお、Capac ñanでは年4回、金沢、京都、名古屋、関東地域で研究会を開いております。参加をご希望の方は、Capac ñan、幹事の岩田安之、または連絡係の向井暁子までお知らせください。研究会のご案内を差し上げます。

    幹事   岩田安之 e-mail : CQX04423@nifty.ne.jp

     連絡係 向井暁子 e-mail : 9jlam005@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp

 

 

7.新入会員名簿

 以下の方々の入会が承認されました。

井上 泰輔、田中 悠希、中満 和大、中元 洋司、福原 弘識、山崎 卓世、山本 睦、吉田 修、吉田 栄人、吉田 誠、若杉 知和、渡辺 剛渡邊 誠

 

 

8.会員名簿の訂正

 2001年度会員名簿に誤りがありました。下記のように訂正し、お詫びいたします。

<誤>                <正>

#####################

 

9.事務局からのお知らせ

(1)運営委員の任命

大貫会長の希望により、松本剛会員が広報担当に任命されました。

 

(2)事務局の移転

古代アメリカ研究会事務局が下記に移転いたしました。

 

     住所:〒259-1292

        神奈川県平塚市北金目1117

        東海大学大学院文学研究科文明研究専攻院生室内

        古代アメリカ研究会事務局

     電話:0463-58-1211(内線3068

     Fax0463-50-2104

     E-mail9jlam005@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp

 

(3)会報への投稿募集

 『会報』第11号への投稿を募集します。最新の調査や研究、各地で行われている研究会や講演会、展示会、出版物の紹介などの情報を研究会事務局までお寄せ下さい。

 

(4)会費納入のお願い

2001年度までの年会費を納入されていない方は同封の振込用紙にてお振込みください。

 

編集後記

 今年も蒸暑い夏になって、中南米へ調査に出られる方々を羨ましく思いつつ、何とか会報が出来上がりました。研究会や出版物紹介などの情報を頂き、ありがとうございました。まだまだ、たくさんの情報があると思いますので、皆様からの連絡をお待ちしております。また、調査報告については、今回もこちらから原稿を依頼致しました。いつも研究発表会や懇親会などでいろいろと皆様のご活躍を伺っております。是非簡単な報告を投稿して下さい。

 今号より、新たに事務幹事になられた向井暁子さんと一緒に会報を作っていくことになりました。宜しくお願い申し上げます。

(横山 玲子)

発行  古代アメリカ研究会

発行日 2001724

編集  横山玲子・向井暁子