古代アメリカ研究会会報No.7(発行2000年2月)

 役員会海外調査日記1海外調査日記2新入会員名簿一覧事務局からのお知らせ編集後記


古代アメリカ研究会役員会


開催日:2000年1月30日(日)
場 所:東京大学教養学部14号館407号室
出席者:大貫良夫(会長)、高山智博(運営委員)、杓谷茂樹(運営委員)、
    馬瀬智光(運営委員)、渡部森哉(事務幹事)
委任状:関雄二(運営委員)、柳沢健司(監査委員)、多々良穣(監査委員)
中村誠一(代表幹事)
 役員10名のうち9名が出席扱いになったため、役員会が成立した。
司会:大貫良夫、書記:馬瀬智光。

議題1 1999年度決算について
 『会誌』の赤字分を支出「その他」項目から補填することが1999年度総会で確認されたが、『会誌』1号、2号発行費は1月30日現在、122,555円の赤字となっているため、1999年度決算でその分を補填する予定である。
 研究発表会参加費として144,000円の余剰金が生じているが,これは前回に開催費用の負担の少ない東京大学で行ったためである。この余剰金は2000年度総会・研究会開催費用として使用することに決定した。次回の研究発表会参加費は,この余剰金を考慮して決定する。

2 会誌『古代アメリカ』第3号について
 論文2本は依頼原稿とし,役員会の開催時点では1本受領,1本未受領の状況である。
 投稿原稿が3本あったが,査読の結果,1本を第3号の研究ノートとして受領し,1本を第4号に掲載することにした。残念ながら残りの1本は未採用となった。研究ノートは依頼原稿1本,投稿論文から1本とし,2本とも受領済みである。
 書評は依頼原稿2本とし,2本とも受領済みである。
 なお第3号には第2号に掲載された横山氏他の論文に対するコメントを省略すること
にした。
3 2000年度総会・研究会について
 2000年度総会・研究会は2000年5月27日(土)に大阪の国立民族学博物館のセミナ
ー室で開催することに決定した。
 総会では新役員の選出や2000年度予算案の審議等を行う予定である。また,研究発
表会の発表者はこの『会報』をもって募集する(詳しくは事務局からのお知らせを参照)。

4 役員改選について
 2000年度の総会で会長をはじめとする役員の改選が行われる。不在者投票を認める
提案がなされたが,従来とおりの参加者のみとすることに決定した。
 また,投票方法は,会長,代表幹事,事務幹事,監査委員(2名)について計4回の投票を行うこととした。これは,従来の一括方式では票が分散するという不具合を解消するためである。

5 会費の変更,およびそれに伴う会則の変更について
 1999年度総会で連絡したように、『会誌』代を含め年会費を4000円とする会則変更
案を2000年度総会で提出することに決定した。これにより、会誌収入が安定し、『会
誌』のレベルアップに必要な経費の増減に柔軟に対応できる。

 会則変更案は以下のように第6条、第8条、付則1に関してである。下線部が変更箇
所である。
第6条(権利)
  本会会員は以下の権利を有する。
(一)総会に出席する権利
(二)『会誌』に投稿する権利
(三)研究発表のための定期的な会合において発表を行う権利
(四)『会報』の配布を受ける権利
(五)『会報』に情報・連絡事項を掲載することを要請する権利
(六)『会誌』の配布を受ける権利
第8条(機関誌の配布等)
『会誌』の配布は、第6条、及び本条第2項による他は、有償とする。『会誌』の頒価
は発行の都度役員会で決定するものとする。
2 研究機関等に対する『会誌』の配布は、その送付先の選定、送付方法など全て役員
会の判断で行うものとする。

付則1
本会の会費は、下記のとおりに定める。
年額 4.000円
 ただし、海外に在住もしくは長期滞在している会員で、円貨以外の通貨で納入を希望するものについては、原則として年額40米ドルとする。

7 2000年度予算
 会則変更を前提に、以下の予算案を立てた。
収入の部
前年度繰越金 370,000円
会費収入 (105名) 420,000円
計 790,000円
支出の部
会報発行・発送費 30,000円
総会・研究会開催補助費 30,000円
役員会旅費補助 250,000円
通信費 10,000円
ホームページ開設維持費 4,000円
会誌発行・発送費 300,000円
その他 166,000円
計 790,000円

8 新入会員の承認
 新入会員3名を承認。

9 研究会活動方針全般について
 ホームページは南イリノイ大学の松本氏の協力もあって開設することができたが,思ったほど活用されていない。これはホームページの更新がないこと等,運用に問題があると考えられる。


海外調査日記1


 昨年夏、1ヶ月あまりペルー北部のトルヒーヨ市に滞在し、ワカ・デ・ラ・ルナ遺跡の発掘に参加した。ワカ・デ・ラ・ルナはモチェのセンターの一つである。これ自体巨大なアドベの神殿建築なのだが、やや離れて、更に大きなアドベピラミッドのワ カ・デル・ソルが立っている。また、その間は一見何もない平らな砂地だが、ひとたび発掘区が設けられ、住居や工房が姿をあらわすと、さながら都市のような景観である。
 トルヒーヨ大学のサンティアゴ・ウセダ氏率いる「プロジェクト・ワカ・デ・ラ・ルナ」は、ペルーで現在行われている最も大きな発掘調査の一つである。また、トルヒーヨ市内から車で5分というアクセスのしやすさもあり、ひっきりなしに国内外の研究者が訪れる、活発な意見交換の場でもある。
 発掘自体も非常に刺激的であったが、様々な人を含み、また多角的なプロジェクトの形態にも感銘を受けた。まず、非常に国際色豊かである。トルヒーヨ大学の考古学者や学生以外に、フランスやカナダからの調査団も参加しており、また、スペインやアメリカから、私のように個人的に参加している学生もいた。調査の仕方にもそれぞれの「お国柄」が見えておもしろい。タンクトップに短パン姿で、砂の詰まったバケツ2個を軽々と運ぶカナダの女子学生のたくましさには感心した。調査団はまた、「調査」「観光」「修復」「教育(考古学・観光学の学生の実習)」を4つの柱としている。7〜8人の修復保存の専門家がおり、常に彼らと相談しながら発掘は進められた。またトルヒーヨ大の観光学科の学生がガイドとして常駐し、何か新しい発見があると、彼女たちは発掘区を訪れ、熱心に説明を聞いてメモをとっていた。
 国内では、この大規模で話題性のあるプロジェクトを羨望し、理想とする声も多い。もちろん、外国調査団とのかね合いや、考古学者と修復家との折り合い、また常につきまとう調査資金の問題など、様々な問題を含んでいるとは思う。しかし、このような大規模プロジェクトの少ないペルーの中では、一つのモデル・ケースとして期待できる。様々な問題を調整しつつ、今後も更に発展していってほしい。
 私の滞在中に、プロジェクトの9周年記念のパーティーが遺跡で行われた。プロジェクトのスポンサーであるピルセン・トルヒーヨ(ビール会社)のビールが飲み放題。これもペルーの考古学者がうらやむ要素の一つかもしれない。

(徳江佐和子)

 


海外調査日記2(フィールドノートから見る各国考古学事情)


 発掘調査では誰しもフィールドノートをとる。発掘のプロセスや気づいたことを何でも書いていく。書き方に決まりはなく、形式も内容も人によって様々である。しかしながら、また、国ごとにその書き方に傾向があると感じているのは私だけだろうか。
 私は今まで日本人の他、メキシコ人、ペルー人、アメリカ人といっしょに働いたことがある。全体的に、どの国の人も日本人と比べ、フィールドノートにおける図の割合が各段に少ない。特にアメリカ人学生。図が殆どなく、文章がずらーっと書いてある。これは、アメリカ人の論文には図が少ないことを考えると偶然ではないかもしれない。そうすると、しばしば理論先行と批判されるアメリカ考古学を反映しているような気がしてきた。逆に、日本人のフィールドノートは文より図の割合が多いようだ。図を最初に描き、そこに注意書きのように気づいたことを書いていく。これは、データ提示を重視する日本の事情を示しているのかもしれない。
 メキシコ人とペルー人は、アメリカ人学生と比べると図の割合は多少多いように思える。しかし、基本的に絵が不得手だ。ペルーで、面白い図を見たことがある。平面図とも断面図ともつかない不思議な絵である。これなど、私は数学教育が少なからず関係しているのではないか、と思っている。数学の中でも幾何学。物事を抽象し平面で捉える能力である。周知のとおり、日本人の数学の成績はピカイチである。たいていの日本人にとって遺構を平面として捉え、紙面上に図を起こすことはそれほど苦ではないだろう。また、ペルー人,メキシコ人のノートには結構大事な情報が抜けていたりする。これは両国であまり報告書が出版されないことを考えると納得がいく。あまり先のことは考えていないのである。
 こうしてみてくると、各国の考古学者のフィールドノートはそれぞれの考古学事情を体現しているように思えて面白い。

(村上達也)



新入会員名簿一覧


 2000年1月30日の役員会、及びその後の役員間の連絡で以下の方々の入会が承認さ
れました。2000年2月22日現在会員数は105名となっています。
石原玲子、岩崎 賢、嘉播 茂、竹隈あゆみ。
 


事務局からのお知らせ


1 ホームページの特徴である速報性を生かすために,会員のみなさまのご協力をお
願いします。「最近行われている調査」や「著作目録」等を公開したいと考えていま
す。そこでみなさんには会報委員の馬瀬にメール,電話,手紙等により最近の情報を
伝えていただき,それをホームページ上で公開したいと思っております。
 情報収集項目
  1)海外での調査
  2)古代アメリカ文化の著作目録
  3)書評
  4)研究最前線(会員の研究内容・調査日程・分野別会合の開催等)

2 第5回研究発表会の発表者を募集します。締切は3月15日までとしております。
発表希望の方は,題名と要旨(400字程度)を郵便、またはメール(shinya@bunjin.c.u-tokyo.ac.jp)で事務局までご連絡下さい。


編集後記


 なんとかホームページの活用を進めたいと考えていますが,妙案が浮かびません。
会員のみなさんからアイデアを頂くことで,楽しいページが作れたらいいのですが。
 話は変わりますが,1月や2月に編集作業を行うのは個人的には非常に厳しいです。この時期は私のような行政埋文職員は休日もあってないようなものです。まあ,年度末に限らず,「研究で忙しい」と一度でいいから言ってみたい思う今日この頃です。今回の編集後記は愚痴になってしまいましたが,研究できる時に研究することが一番大事だと思います。                            
(T.U)

 会報7号にエッセイを寄せてくださった、徳江、村上の両氏に感謝いたします。ま
た、会員の桜井敏浩さんから「アンデスの黄金文明 盗掘と遺跡保全考」という随筆
を送っていただきましたが、長いため会報には載せずホームページからアクセスでき
るようにする予定です。(渡部森哉)